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​プログラム

座長:

招請講演

松波 和寿
(社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院)

演者:

江崎 禎英
(社会政策課題研究所 所長/岐阜大学客員教授)

​セッション概要

 豊かな人生を送るために、「健康」が大切なことは誰もが理解しています。また、健康であるために「予防」が大切なことも誰もが知っています。しかし、予防政策によって医療費は減らないことは、医療経済学の常識でもあるのです。経済の豊かさと医療技術の発達によって、日本国民の平均寿命は延び続け、今や「人生100年時代」が単なる希望的スローガンではない時代が訪れつつあります。しかしその一方で、高齢化の進展とともに、医療費を始めとする社会保障費は拡大の一途を辿っており、経済活動の低迷と相まって将来に対する大きな不安材料となっています。

日本の社会保障制度は、戦後復興・経済成長期に基本設計がなされており、「国民皆保険制度」は、結核に代表される感染症が死因の上位を占めていた時代に整備されたものです。その後、経済成長に裏打ちされた社会保障の拡充や国民皆保険に支えられた先進的な医療技術の導入・普及は、自立して生活できない虚弱なお年寄りを大量に生み出すことにもなりました。

人生100年時代と言われる今日、最期まで如何に幸せに「生ききる」かが重要なテーマであり、誰もが夫々の年齢や体力に応じて社会の一員としての役割を果たすことが出来る「生涯現役社会」を構築することが求められます。そのためには、年齢が進むにしたがって多様化する「健康需要」に対応するためのサービスを創出し、地域資源を活用しながら地域の実情にあった供給体制を整えていくことが必要です。

 人生100年時代の健康・医療サービスでは、「病気にならないよう健康管理に努め」、「仮に病気になっても重症化させず」、「治療や介護が必要になっても社会から切り離さない」ことが重要です。こうしたサービスの提供には、公的保険だけでなく、民間による公的保険外サービスの充実が不可欠です。また、生涯を通じた健康医療介護情報システムの構築なども必要でしょう。

 これら一連の取り組みを通じて、超高齢化社会のあるべき健康・医療システムを再構築することが、時代の転換期にある日本社会の課題なのです。

​理事長講演

座長:

齋藤 登
(獨協医科大学埼玉医療センター)

演者:

​山中 英治
(若草第一病院)  

​セッション概要

 今回のテーマにあるDiversityとは「多様性」ですね。小池百合子都知事がダイバー・シティ東京と言われた時は、東京お台場のダイバーシティ東京のことだと思っていました。小池知事は女性初の東京都知事ですが、欧米の先進国はドイツのメルケル前首相をはじめ、今年注目されたフィンランドのマリン首相など、女性がリーダーの国は少なくありません。EUのフォン・デア・ライエン委員長は、婦人科医で医学博士、そして7人のお子さんがおられます。公衆衛生学修士も取得してメルケル内閣の閣僚を経験するなど、とても怠惰な私と同い年とは思えない能力と実行力です。ロシアのウクライナ侵略を見るに、男は本当に愚かで暴力的な性だと思います。世界中の国のリーダーが全員女性であれば、戦争は起こらないのではないでしょうか。話が長くても人は死にません。

 さて、パスは医療を標準化しますが、進化し続ける多様性があり、また個別対応も可視化できる科学的かつ安全なツールです。星の王子様は「かんじんなことは目に見えないんだよ」と言いますが、パスはかんじんなことを見えるようにします。パスは多職種の知識と技術を結集した各医療機関の結晶です。職種が違うとできることがちがいますが、みんなちがうからこそのチーム医療です。

 パスはマニュアルではありません。こうなったら、こうする。アウトカムを達成すれば、次に進むのです。患者さんは、みんなちがって、いいのです。だから、パスは患者さんに優しいのです。患者さんが「痛いです」と言えば「痛いですね」と答える。痛いのは私だけでしょうか、いいえ、誰でも。パスはみんなに優しいのです。

演者:

会長講演

松波 和寿
(社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院 病院長)
​山中 英治
(若草第一病院)  

座長:

​セッション概要

 現在、クリニカルパスは、複雑な医療の過程を見える化し、医療安全、標準化、効率化、説明と同意、根拠に基づく医療の実践及び地域医療連携の充実等に不可欠なものとなっています。クリニカルパスが日本に普及したのは、この日本クリニカルパス学会の功績が大きいと思います。様々な紆余曲折を経て今年で23年になりますが、コロナの時代になり、ますますクリニカルパスの重要性が増してきています。

 国内外の社会情勢の不安定化(感染対策、行動制限、戦争、資源不足、円安、自然災害など)とともに、人の価値観、生活観、死生観、ジェンダーなどあらゆるものが多様化してきています。医療の世界でも、疾病の多様化、複雑化が著しくなり、これに対応するには標準化が不可欠です。標準化なくして個別対応はできない、まさにクリニカルパスの役目です。AIの活用もますます重要になっていきます。ビッグデータを分析してもそれを素早く役立てるにはヒトの能力では限界でしょう。最終判断はヒトがするにしても多くの情報はAIによるものが多くなってきています。コロナがもたらしたのは第4次産業革命と言っても過言ではないでしょう。ヒトも社会も医療も組織も変わらなくてはなりません。

 今回のテーマ「Diversity 2022 -新世代のクリニカルパス- 」を、学術集会で実感していただき、次の世代につなげていただければ幸いです。

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